<Shot>
「ばかだな、人の本音なんか知って何になる」
「だって」
「人ってのはな、下手すりゃ一生タテマエだけで生きていけるもんだ。余計なことはどうでもいいんだよ」
「そんないいかたしなくたって」
「俺だってお前のことどう考えてるかわからねーだろ。でも決して口に出さない。そういうことって人生じゃ大事なんだ。」
「。。。。」
「いいから早く寝ろ」
「しー。何か書き付けてるよ。何とかして知りたいわね。」
「また、おまえ、いつかさされるぞ」
「ねえ、合鍵手に入らない？」
「社宅ならまだしも、持ち家なら無理だ。下手すりゃ後ろに手が回るぞ。」
「だって、知りたいんだもん。」
「うるさい、早く寝ろ！」
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翌朝。 「ちょっと、いいですか。」
Taokaは呼び止められた。
「おたくねー、少し、変じゃない？いや、うちの中で何やるかはあんたらの勝手だよ。でもね、隣近所に聞こえよがしに大声出すのやめてくれる？　それに、。。。単なる大声じゃないでしょ、あんたらの。」

「すみません、ちょっと、明日から海外で忙しいのでまた今度」
そそくさとエレベーターに乗ってその場を去っていた。
「なんてやつだ」

：：：：：：：：：：：：：：
「じゃあ、あなたいってらっしゃい。」
女はマンションにはおよそ似合わない切り火を切った。
「ああ、ついたら電話するよ。」
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ドンムアン空港からタクシーに乗ると、運転手はやたらあくびを繰り返した。まだ、新空港はできていないころの話である。
「おい、大丈夫か」
「いや、よく寝てなくてね。どうだい、だんな、調子は？」
「まずまずだ。」
「人生にはいいときもあるし、悪いときもある。そうだよな？旦那。」
そういいながら日本ではおよそありえない貧相な高架道路を大きくカーブしながらタクシーは一般道に降りた。目の前をオート三輪が何台も通り過ぎた。車はワットポー寺院の前に止まった。料金は。。。。標準じゃありえない金額に跳ね上がった。 「いいとこ紹介してやるよ、ちゃんとはらったほうがいいぜ。払うまで荷物は降ろせないから。」
Taokaはバンコクは決して微笑みの国ではないことを知ってはいたが、ここでのぼったくりタクシーは初めてだった。
「まあ、2倍はいってないから払ってやるか、到着早々、面倒をかかえたくないからな。」
そう思ってTaokaは車を降りた。
「だんな、俺の連れがそこにいるから紹介するよ。Big Buddaに格安でつれてってくれるぜ。」
そういうなり、若い男がなれなれしく、今度は日本語で話しかけてきた。
「私、日本人ととてもなかがいいよ。今日はとっても格安でBigBuddaに案内するよ。場所は、。。」
そういってTaokaの地図にいきなりボールペンで書き込み始めた。
「いや、いいよ、用事があるんだ。またな。」
「ちょっと、だんな」
呼び止められたが、かまわず、早足でその場を去った。だいたい、ワットポー以外にBigBuddaなんてガイドブックに載ってない。彼は空港で帰国前のカップルの話し声を耳にしていたのである。
「あの、BigBuddaの件で。。。。もう持ち合わせがないな。パスポート取られなかっただけ不幸中の幸いだ。そう思ってあきらめよう。。。」若い男のその言葉に隣の女は無言でうなづいた。
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「というわけだ。2年前は大変な目にあいかけたぜ。はっ、はっ、はっ、いやー、いい天気だ。そしていい酒。今回のバンコクはサイコーだなー。おまけにあんな女がいなくてせいせいするぜー。うるせー息子もいねーし。そして、何より、お前がいるからな。」
女はタイシルクでできた真紅のドレスを身にまとい、川べりをみつめてながら微笑んだ、女の肩に手をかけ、Taokaはジョッキを空けた。まだ、日は傾きかけたころで、オート三輪のエンジン音が耳をつんざいていた。やがて、ChaoPrayaRiverから眺める夕陽はワットポーの寺院を真っ赤に染め始めた。
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「なあ、今度の週末はプーケットにでもいかないか。」
「プーケットはもう飽きたわ。パタヤなんかどうかしら。セブでもいいけど。」
「セブは少し遠いな、よし、パタヤにつれてってやろう。部屋を取っておくよ。」
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そして週末が来た。パタヤはバンコクから二時間ほど車を飛ばしたところである。その間、とてもたいくつな田舎の風景が続く。ようやく、再び都会らしき町並みが始まった。ほどなく車は小高い丘を登り始めた。丘の斜面には大きな公園があり、海を見下ろしていた。このあたりの住民がジョギングをしている。
「ねえ、あの屋台で食べましょう」
「え、屋台？　ホテルでいいじゃないか」
「あら、屋台もいいわよ。」
Taokaは知らないわけではなかった。日本人が一人で旅行するときは、ホテルの敷地から出ないほうがいいことを。特に、屋台が立ち並ぶとおりはあまり治安がよくないことも。だが、この女となら大丈夫だと思った。
「ああ、わかった。あそこに車を止めよう。」
そのとき、携帯がなった。日本からだった。だが、彼は無視して電源を切った。
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</Shot>
(Originally uploaded on June 6, 2008)

<Remark>
　In order to avoid misunderstanding, I (author of this novel) dare to state the following:
- The story regarding the woman in Thailand above is just an imaginary one.
- "Listeners-in" really exist everywhere and I have heard more than 400,000 specified devices are sold every year domestically. But I have never used in the past and I will never have such evil devices actually. My consistent policy is that such kind of devices should be treated like guns and swords by international laws and also by domestic laws.
"Go to hell, Listeners-in ! ". 「盗聴者に鉄槌を！」
</Remark>

<Shot> 「俺、わかったんだ。このまま続けていると、じわじわ追い詰められて、最後にはやばいことになるってな。」
「やばいこと？」 「実は、昨日、街角でコンビニに入ってな、弁当買ってたんだ。そしたら、うしろから聞こえたんだよ。」
「何が。。」
「『あれはこれ以上続けないほういい。複数の被害者が法律事務所や公共機関に問い合わせている。いずれTaoka君は政府機関の手で抹殺されます。オペレータも度が過ぎると道連れになりますよ。』って。どこからともなく囁かれるように聞こえてきたんだ。」
「よくあるリミックスだな。いったい誰だったんだ？」
「わからない。俺はそのとき考え事してたから。でも、あるいは公安のものかもしれない。気がついたら背の高い男が外へ出て行こうとしていた。俺は後姿しか見ていない。買い物かご持ったまま外に出るわけにもいかないし。」
「40年ほど前、アメリカのベル研でこの基本理論が完成したとき、学会ではものすごい脚光を浴びた。だが、誰もそんなもの現実に作れるなんて思いもしなかった。それが、。。。、いまや、現実に目の前で作動している。」
ノートPCにつながれたそのオーディオ機器のようなデバイスは絶え間なくインジケータを点滅させていた。そして、PC画面上には。。。。
「軍事技術の転用とは恐ろしいものだ。こいつはすでにアメリカでは社会問題になっている。自殺者も出た。殺人者もでた。ある日狂ったように他人の家に押し入り銃を発砲したそうだ。病院にぶちこまれたのも大勢いる。だが、不思議なことに、例の大学の乱射事件に比べて、これ関連の事件は恐ろしく報道が控えられているんだ。」
「なぜ、。。。。」
「世界規模の社会不安を引き起こすからだよ。そしてひいては経済も大混乱に陥るだろう。そうしたらせっかくこの十数年で構築してきた高度IT、いや、もっとはっきりいうとWindowsで開花したPC文化とインターネット社会が一気に衰退することになるだろう。これは、もう原油価格高騰の比じゃないはずだ。」
「歴史を変えちまいかねないかもな。それだけ、今の世界はネットとPCなしでは成り立たなくなっている。」
「それに、もっともやばいのはこれがSoshiki社の所有する設備だってことだ。今、Soshiki社はHeavyMetal社の傘下で政府の指揮する世界的プロジェクトを立ち上げようとしている。」
「それって北欧のある大学が絡んでいるとかいう？」
「ああ、それだ。そんな矢先に一般大衆に公私混同などやばいうわさが流れてみろ。大変な騒ぎだ。そうなりゃ、こいつにかかわった人間は消されて当然だ。それに。。。」
「それになんだ？」
「HeavyMetal社には超やばい組織がM&Aをかけようとしているらしい。政府公安が動き出すのも無理ない。」
「それって、P。。。。」
「し、黙ってろ。。。。。その先は言うな。」
「・・・・・・」
「そのとおりだ。俺は明日朝一でこいつを社に戻す。Taokaさんには体調を崩したのでしばらく休養をとると連絡をしておく。」
「連絡とるったって、バンコクだろ、今。」
「何だっていいんだ、形式上のことだ。もうTaokaさんのくだらん理由でこんなやばいこと続けてる暇はない。」
「で、また、社に戻るのか？」
「いや、俺は一定期間休職したらそのまま退職する。おまえも考えたほうがいいぞ。」
「そこまでしなくても。」
「実はな、今朝、Hioki事業部長から問い合わせがあった。検察から超微弱信号受信装置について行政指導を行いたいので一度関係者に会わせてほしいとな。」
「検察が行政指導？うそだろ。電磁波って限定してるわけじゃなく。。。？」
「ああ、IRや音声、空気振動、脈波なんかも調査対象に入ってるんだろう。脳波まではないと思うがな。」
Iidaはオーディオ機器の隣にある別ユニットに目をやった。そこには明らかに人影のような形状が行き来する様子が映し出されていた。 そして先ほどのノートPC上では、誰もキーボードに触れていないまま、銀行口座のIDとパスワードが打ち込まれようとしていた。

</Shot>
(Originally uploaded on May 11, 2008) (To be disclosed soon ... done.)

<Remark>
　In order to avoid misunderstanding, I (author of this novel) dare to state the following:
"tempest" really exists in the world, but I have never had in the past and I will never have such evil devices actually. My consistent policy is that such kind of devices should be treated like guns and swords by international laws and also by domestic laws.
"Go to hell, tempest users! ". 「電磁盗聴者に鉄槌を！」
</Remark>

<Shot> 「おとうさんがいなくなって3年たちますね。。。もう仏壇にしちゃいました。へへ。世間ていうのは馬鹿ですね。赤の他人に金などくれるんですから。。」
「ところで、おとうさんって何？」
「おれもそろそろ消えようかなっと」
「あ、そうそう、親父の部下、ひとり死にました。それから、例の装置、やつが処分したそうで、助かったよ。でも、俺の分は見つかってねーよ。 へっへ、あれで夜中に思いついたこと、叫んでるんだ。おれにできねーことなんかねーよ、天才だから。ケータイもiPADも俺が考えた。クラウドも俺のアイデアだ。それと、。。。NYは俺の庭だ。アイガーは5年前に登頂した。ニュートリノは俺が発見した。総理大臣は俺の弟子だ。。。。HAAAAAAHAAAHAAAAAAAAAA.」
Lunatic、彼はそう呼ばれていた。祖母の莫大な遺産をもとに狂気のまま生ける男、Lunatic K.Taoka. 母はとうに気がふれていた。姉は毎日ヒステリーのような声で叫び、かろうじて正気を保っていた。 「あ、そーだ、Patayaの彼女に電話しよーっと。。。HAAAAAAHAAAHAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA.」
</Shot>
(Originally uploaded on Apr 27, 2012) (To be disclosed soon ... done.)

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