<Descriptions>
<Title> 神の関数 </Title>
<Part> 第2部 </Part>
<Status>
<Name> 公開中 </Name>
<Since> 2004年2月 </Since>
</Status>
<Abstract>
Folk教授は二十数年前に情報時空の統一理論を構築し、“夢を見る人工知能”を米国で発表した。だが、そのあまりにも先進的な内容で彼は学会を追われることになる。父の意思を受け継いだ天才少女RenaはMITで理学博士を取得後、それを驚くほど正確な情報予測理論に発展させた。この技術を虎視眈々と狙う謎の組織Profit、そして奇しくも同時期に“心象を映像化するマシン”を開発する日本のベンチャーMSR、そして筆者の分身Micky。さらに戦前、戦後、80年代、そして近未来へと、洋の東西を問わず時空を超えて、様々な人々の生き様が交錯する。彼らの目指していたものは？ 向かうところは？ そして歴史とは科学できるのか？ それとも。。。
</Abstract>
<Contents>
<Name> Home </Name>
<Intro> ....16年の歳月が流れた...
</Intro>
<Highlight>
「時間と静寂が最大のリソースである」
めまぐるしい時空間移動とインタラクションから得た結論はそれだった。同時にその”リソース”を犠牲にしても守らねばならない”癒し”の必要性も認めていた。
</Highlight>
<Highlight>
Renaは言った。「定理証明能力のない集団は生涯その法則を獲得できないのよ。ある人は３日で、別の人は10年かかるかも知れない。私なら1秒で証明できるわ。」
「でも、その法則も周囲が認めなければ社会的圧力に抹殺されてしまうだろう？」
Mickyが見上げるように尋ねた。
「情報伝播能力と証明能力の高い集団ではまったく異なる文化が生じるということね。。。」
無限の黄昏空間は闇に変わろうとしていた。
</Highlight>
<Highlight>
”Knowledge”と”Performance”の戦いは徐々に拡散していった。２つのEの波が押し寄せ、新勢力”Achievement”が台頭したのだ。一方で、旧勢力”Religion”が過激化し、報酬最大化戦略Profitの行方は予測のつかないものになった。。。
＜/Highlight>
<Highlight>
雲ひとつない浜辺 −
打ち寄せる波を見ながら、Tetsuoは言った。
「婆さん、俺は陸軍士官学校に最年少で入隊してな、戦後は東京大学で哲学を勉強しとったんじゃ。今は中退して九州大学におる。」
波の音だけが聞こえた。
「成績は全部優ぜよ。学費は英語の先生やって自分で稼いどる。」
Tetsuoは桂浜の坂本龍馬像のように立ちすくみ、太平洋の彼方を見つめている。老婆は、彼を見上げることもなく、静かに答えた。
「わしゃー、難しいことはなーんもわからんけん。。。 このジャコさえ売れればええんじゃ。」
陽に焼けた老婆の顔が少し微笑んだ気がした。
突然、強い潮風と砂煙が吹きつけ、Tetsuoの足元を揺るがせた。”婆さん”は何事もなかったかのように作業を続けている。
Tetsuoは泣き出しそうになった。
</Highlight>
<Shot>
連邦工科大学の一室。
「では、”最適”とは何だと思う？」
長い沈黙の後、Folk教授は口を開いた。論証の準備は既に万全だった。ただ、相手に内省の時間を与える必要があったのだ。
</Shot>
</Contents>
</Descriptions>
